中小製造業が「加工装置」を海外に売り込む方法

このブログは「日本で生産(つく)って海外に販売(うる)!」を目指して、実践と情報を発信することで、国内で「ものづくり」を続ける中小製造業の海外販路開拓を応援します!

こんにちは、株式会社日本クロス圧延の岡です。

弊社は小規模な金属材料のメーカーです。国内での流通量が減少する中、海外に材料を販売しようと考え、自社製品を「R&D Materials」というブランディングをし、そして実際に海外にプロモーションしながら経験したノウハウやダメだったことなどを発信していきます。

特に本章では「加工技術」を売り込むには?というテーマでコラムを書かせていただいています。

精密シャーリングマシンの海外プロモーション

このまえ新規に産業機械の海外プロモーションを依頼されました、いろいろな案件の相談を受けますが、正直言うと興味のない案件も結構あるのです、しかし今回頂いた話はちょっとやる気の湧いてくる面白い製品で、職人の尖った技術を持った素晴らしい機械でした。

その製品とはいわゆる「シャーリング」という機械で中世のギロチンと同じものです。切断したい製品の上から刃が下りてきて、「ちょん!」と切断する単純な装置なのですが、単純ゆえに面白いのです。

さてさてどうやって海外にプロモーションしましょうかねえ?

シャーリングマシン

これがシャーリングマシンです、なんてことはない機械なのですが...

シャーリングマシンなんて昔からあって、これといって目新しい機械ではないのですが、引き受けた以上は全力投球です。どんなに嫌な奴にも一つくらいいいところがあるもんでしょ?とは言いすぎかな(笑)とりあえず、この装置ってどこに魅力と強みがあるのかを冷静に分析するためには、実際に使ってみるのが近道だと考え、無理言ってデモ機として1台借りて会社に設置しました、1千万円以上する機械なのに太っ腹な社長だね(笑)

まあ借りなくてもわかっていたのですが、このシャーリング装置って10ミクロンの薄い金属箔を切断することができるのです。薄い材料を切断するためには切断用の刃のギャップ設定と歯の設計が重要なのです。いわゆる職人の擦り合わせ技ってやつですね、とくに刃の設計は重要で切れ味を良くしようと鋭角な刃にすると最初はよく切れますが、摩耗して鈍るのも早くなりメンテナンスのコストが高くなってしまいます。

この機械は独自の構造で、切断する刃の形状は正四角形!だから4面使えるので4倍長持ち!

そして上刃と下刃には「ギャップ」という隙間があって、広ければ切れないし狭いと上刃と下刃が接触し刃が欠けてしまうので調整が肝で、従来は刃のギャップ調整に「シム」を使って隙間を調整していたのですが、メカ的に工夫されていて「シム」なしで2ミクロン単位でギャップ調整ができる構造になっているなど玄人好みな渋い設計がされています。

まあ、この渋さに惚れてしまって二つ返事で海外プロモーションを引き受けたわけですが、どうやってこの渋さを表現して海外に発信しようかと考えるだけでなんだかワクワクします!

どうやってプロモーションするかこのブログでフォローしていきますね

さいごに

本章は製造業の技術を売るというのがテーマです、だからこのシャーリングマシンをそのまま売るということは考えていません。なぜかというと装置を海外に売ってしまうと、メンテナンスやクレームの処理に時間とお金と体力が必要なのです。最低でも信頼できる代理店やメンテナンスができる修理工場と契約する必要があるので、装置販売はこの次のフェーズですね。さてこのフェーズではどうやって売っていけばいいのでしょうか?

難しくも面白いですね!

次回もよろしくお願いいたします。

 

日本の中小製造業の海外販路開拓に少しでもお役に立てればと思いブログを書かせていただきました。何かの参考になれば幸いです。

次回もまたよろしくお願いいたします。

この記事の執筆者
岡 正俊

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