製造大手が進める新しいオープンイノベーションの形
こんにちは、ものづくり経革広場の渡部です。
先日フェイスブックに少しだけ写真をアップさせて頂きましたが、徳山の知人の中村雄志様からの招待で、“IoT&H/W BIZ DAY 2 by ASCII STARTUP”に参加してきました。カンファレンスではオープンイノベーションについて、製造大手だからこそのジレンマなど赤裸々に語っていただきました。
この記事の目次
カンファレンスの前に
カンファレンスが始まるのは15時なのに、間違えて14時に到着してしまったので、始まるまでの時間、同じ会場で行われていた展示会にお邪魔しました。
さすが、スタートアップの企業が多いだけあって、出展者も参加者も若い方が多かったです。IoTを使った製品や、新しいハードウェア、VRなどの製品が展示されていました。スタートアップの企業って本当に針の穴を通すようなニッチなニーズを満たしてくれる製品でいっぱいです。
気になった1社をご紹介します。
株式会社TeNKYUが提供する「TeNKYU」。アプリがインストールできる電球型デバイス。第一弾はなんとLED電球の中にセンサーと通信機能を備えることで、出かける前に今日の天気を色で知らせてくれるというもの。また、人感センサーからの情報をスマートフォンに転送することで、来客通知や一人暮らしの老人の見守りにも使えるという優れもの。
実はこの展示会のあと、渋谷で開かれたピッチイベントで最優秀賞と特別賞をW受賞する快挙を成し遂げました。おめでとうございます。会社設立からわずか数か月ということでしたが、これからが期待されます。
いざカンファレンスへ
題目は「日本企業だからできる、製造大手が進めるオープンイノベーション」登壇者は下記の3名です。
パナソニック株式会社 中村雄志氏 (メカトロニクス事業部 事業開発センター)
株式会社村田製作所 牛尾隆一氏 (新規事業推進部 新事業推進4課 オープンイノベーション推進チーム マネージャー)
三井不動産株式会社 光村圭一郎氏 (31VENTURESアクセラレーター)
※カンファレンス中の写真はNGでしたので、テキストのみのレポートですがご勘弁ください。
新しいタイプのオープンイノベーション
株式会社村田製作所の牛尾様がいらっしゃる新規事業推進部では、新規事業を作り出すうえでの手段として、オープンイノベーションを使っています。その中でオープンイノベーションは下記の2つのタイプに分けられるといいます。
- 課題解決型オープンイノベーション
- 新規価値創造型オープンイノベーション
前者は今言われているオープンイノベーションの型だと思いますが、後者は村田型と社内では名づけられています。株式会社村田製作所と大手製造業2社との間で、「お互いの価値を出し合って新たな価値を生み出すことはできないかと、ひたすらブレストを繰り返します。ブレストで終わってしまうこともありますが、中には新たな事業になるような話も出てきています。」ただ、そこにたどり着くまでに5年という歳月がかかっているそうですが・・・。
大手だからこその障壁
オープンイノベーションを進める上で大手製造業だからこそ、悩んでいること。3社のお話で共通していたことは、
「上司の理解」
これまで、何でも自社だけで取り組んできたこともあって、「他社と組む」ということに関してかなりのアレルギー反応があるようです。今回は実際の事例をもとにお話をされていましたので、3社ともそのあたりはクリアしてきたそうですが、そこには影の努力があったそうです。
他事業部へのプレゼン
パナソニック株式会社の中村様は自社のオープンイノベーションを進めるうえで、他部門へのプレゼンを何度もおこなったそうです。オープンイノベーションをする上で、部門をまたがるような組織変革も含めておこなっていかないと、自分が抜けたら終わりということになってしまうと感じたそうです。
仕掛けイベント
やっぱり最終的には人と人。オープンイノベーションを進めようとしている相手方の企業と自分の上司が、実際に会うような仕掛けをしたそうです。
「ちょっと今仲良くしている人が(東京から大阪に)来ているそうなので、飲みに行くんですが、一緒に行きませんか?」
と上司を巻き込んでいったそうです。実際にはその上司との席のために東京から来ていたそうですが・・・。
日本でも「オープンイノベーションを進めよう」という機運は高まっていますが、大手の古参の方々を動かすにはまだまだ土壌が足りないのかもと感じました。弊社が今取り組んでいるTEC-PALが、日本のオープンイノベーションを促進する一つにツールになればと思います。