“ガイアの夜明け”から見る、中小製造業の海外進出

こんにちは!製造業経革広場の山口遥です。

これから隔週の火曜日に「製造業の海外進出」に関連した記事の紹介をしていきたいと思います。

今回が初めての投稿ですが、まだまだ未熟者の私ですので、皆様暖かい目で見守っていただけると嬉しいですm(_ _)m

 

「海外進出」と言葉にすると、なんだか仰々しく感じてしまうのは私だけでしょうか。

国内の市場に限界を感じてはいるものの、資金面に不安があったり、言語に不安があったり、海外のマーケットなんてよくわからない。とにかく、何から始めれば良いやら…という方が多いのではないでしょうか?

今回は、実際に海外のマーケットを切り開き、実績を上げている企業を(勝手に)紹介したいと思います。

 

 

先日、実家の富山に里帰りをしていた時、ふと目に飛び込んできたのが

「ガイアの夜明け」でした。

今回のタイトルは“不屈の町工場…世界を驚かす!”

 

紹介されていたのは、地元富山と愛知の製造業。

富山のような田舎の町工場が本当に世界に通用しているのだろうか…

頭をよぎったその考えは、瞬く間に消し飛びました。

 

○株式会社 能作○

http://www.nousaku.co.jp/index-jp.html

大正5年創業、富山県高岡市にある会社。主に仏具屋や茶道具を製造している鋳物屋さん。

何の変哲もない鋳物屋さんの製品がロンドンの高級レストランで使われています。

コースターかと思ったら、ワインボトルをセットする容器に早変わり!

自在に変形できる器は、どんなお客さんの心もしっかりと捉えていました。

その器の秘密とは、錫(すず)100%!

錫はこれまで柔らかくて扱いにくい素材とされてきました。

ところが、能作社長は「曲がる金属ならば、曲げて使う商品を開発すればいい」と、食器の常識を覆す「曲がる器」を生み出しました。

この逆転の発想が、世界に通用するモノを生み出したのです。

 

さらには、錫で作った器にお酒を入れると「美味しくなる」そうです。

錫には二日酔いの原因となる「フーゼル油」という成分を溶かす役割があり、特に辛口のお酒を入れるとまろやかになるのだそうです。

酒好きの山口としては、ぜひとも試してみたい一品です。

今では、東京都内の有名百貨店での取り扱いや、世界最大規模の生活雑貨の見本市メゾン・エ・オブジェをはじめ、世界各地の見本市でも大きな注目を集めているそうです。

それもここ8年の話。

たくさんの苦悩や苦労もあったでしょうが、能作社長が海外進出を決めた理由は、

・世界で認められる日本初・東洋初のインダストリーブランドを目指す

・伝統産業を元気にするため

 

こういった熱い想いと、少しの発想で世界のまだ見ぬマーケットを切り開くことができるんだと感心させられました。

特にとても楽しそうに仕事をする能作社長の姿は印象的でした。

 

 

○愛知ドビー○

http://www.a-dobby.co.jp/menu3b.html

昭和11年創業、55名の愛知県名古屋市にある会社。戦前から続く銑鉄鋳造及び機械加工の鋳物メーカーです。

六本木にあるレストラン六本木農園での親子料理教室では愛知ドビーさんの鋳物ホーロー鍋のバーミキュラが使われています。

野菜と魚介類を入れて水を入れずに調理するだけで、見事なスープが完成しました。

このバーミキュラ、昨年は約14ヶ月待ちの状況もあったとか。

そんな愛知ドビーさんですが、大手メーカーの部品の海外調達などの影響で、15年程前には売上げがピークの3分の1ほどに。そこで3代目社長の土方邦裕氏と副社長の土方智晴氏が立ち上がったのだそうです。

鋳鉄とホーローを原材料にし、フタと本体が接する部分は、精密な切削加工によって隙間なく仕上げられてます。水なしで調理できるため、現代のヘルシー志向にはもってこい!

ということで、ヘルシー志向が叫ばれるアメリカをターゲットに定め、土方社長らはサンフランシスコへと向いました。

 

さすがアメリカ、サイズが日本向けだと小さいということで一回り大きな鍋がデザインされました。

鍋の直径が大きくなった事で、独自の密閉加工に苦戦しながらも、鍋が完成。

サンフランシスコ郊外のキッチン用品店でデモンストレーションを行い、テスト販売での協力を取り付けることに成功しました。

今後、アメリカだけでなく欧州など本格的に世界進出をしていくとのことでした。

 

まずは、自社の技術を活かした製品を開発し、日本での反響が後押しとなって世界に進出したのですね。

社長と専務はご兄弟で、夢に向かって突き進んでいる姿はとてもかっこよかったです!

 

そしてもう一人、

○田中金属製作所○

岐阜県山県市、水栓部品・浄水器部品などの開発、制作をしています。

今年の7月、田中社長は節水シャワーヘッドを水不足のシンガポールに売り込みに行きました。

現地の水不足と言う現状を把握した上で営業に出向いている姿がそこにはありました。

逆に言うと、その情報だけで充分海外に乗り込む価値はある、ということだと思います。

シンガポールでは、大きなシャワーヘッドを好むという事実を現地で知り、一瞬は落胆した田中社長でしたが、小さなシャワーヘッドは女性には魅力的ではないかとのヒントを得、エステサロンに訪問。

まとめて10本の購入が決まりました。

 

予想外の事態が起きても、諦めない気持ちが成果を産むのですね!

 

 

日本の企業のうち99.7%が中小企業です。

「経営状態は取引先の大手企業によって左右されてしまう。今後中小企業が生き残るためにも、下請けで培った技術を活用して、世界を驚かせる独自の商品を生み出して欲しい」

とナビゲーターの江口洋介さんは語っていました。

まさに今、生き残るためには、今までの技術や経験、全てのモノ・コトを駆使して行くべき時代です。

日本には、たくさんの世界が驚く技術が、世界に飛び出す機会を今か今かと待っているように思います。

 

微力ながら、そのお手伝いを私共もさせていただければ、と思います。

 

長くなりましたが、最後までお付き合いいただき有難うございますm(_ _)m

これからは、もっともっと日本を誇りに思える時代が来るといいなぁと思っています。

 

 

製造業経革広場 山口遥

この記事の執筆者
テクノポート

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