「インダストリー4.0」が製造業に与える影響

このブログは「日本で生産(つく)って海外に販売(うる)!」を目指して、実践と情報を発信することで、国内で「ものづくり」を続ける中小製造業の海外販路開拓を応援します!

こんにちは、株式会社日本クロス圧延の岡です。

弊社は小規模な金属材料のメーカーです。国内での流通量が減少する中、海外に販路をもとめて自社製品を「R&D Materials」というブランドを立ち上げました。そして実際に海外にプロモーションしながら経験したノウハウや効果が無かったことなどを発信していきます。

今回も前回につづいて番外編、テーマは「インダストリー4.0」

ドイツで最大の工業系展示会「ハノーバーメッセ」でメルケルさんが、目をキラキラさせながらレクチャーを受けたのが「インダストリー4.0による自動車生産の未来のスタイル」ということなのですが、「インダストリー4.0」に乗っかっていくか、乗っからないかについて私の独断と偏見でお話をさせて頂きます。

ドイツでは産学官が主導してインダストリー4.0に取り組んでいて「第4次産業革命」とか「考える工場」など、輝かしい未来と夢に満ち溢れていて、製造業の切り札的に報道されていますが、中身を知れば知るほど「トヨタのカイゼン」とどこが違うのかよくわからないし、表現が抽象的すぎて何を言いたいのか、わかりにくいのですが、量産効率を突き詰めた考え方ということは理解できる気がします。

たしかに弊社が自動車や電機部品の量産工場だったら「このウェーブに乗っかりたい!」と思うことは確実なのです、機械がリアルタイムで生産効率を計算して最高の効率になるように、ネットでつながったほかの機械だけでなく、サプライヤーの納期まで管理して調整するなんて、まるでSFの世界だよね、自動車のデザインだってビッグデーターを活用してどんなデザインの車に多くの人が「カッコいい」と感じるかなどのデーターから人工知能がデザインする...

これを「イイ」と思うか「面白くない」と思うかはそれぞれの考え方かな?

インダストリー4.0は製造業の切り札なのか?

フォルクスワーゲンやBOSCHなどのドイツのメーカーは、近い未来にはインダストリー4.0に対応したサプライヤーからしか調達しなくなる時代になるのは確実なことだと思いますが、本当に乗っかっていいのだろうか?私の中では飼い殺し感のアラートがビービーとうるさく鳴りまくっています。過去にこんなことがありました。

iPhoneなどモバイル機器のバッテリーに組み込まれている「ブレーカー」という部品があるのですが、弊社も数年前にその製造の引き合いがあったのです。これは形状記憶合金で出来ていて、バッテリーの異常で温度が通常以上に熱くなると、爆発を防止するために形状記憶した材料が反応し変形することで、バッテリー内部のガスを開放することで内部の圧力を自動的に下げる部品なのですが、安定と確実な作動が必要なので一般的な材料の精度よりさらに高精度が要求され、特別にカスタム製造した材料が必要なのです。

そのため物量が多いのに売価も魅力的だったのですが、なんとなく心に引っかかるところがあったのです。

それは、これを契約してしまうと弊社の製造能力の30%を独占されることになり、生産能力を確保するために従来からのお得意さんの仕事を切る必要があります。でもスマートフォンなんて長年にわたって安定して生産されるようなものじゃないので、設備投資なんてできません。電気部品メーカーにはさんざん裏切られてきたので基本的に信用できないのです(笑)

そのほかにも納品期日が厳しく、従来は完成したら発送していたのですが、後加工の工程に合わせるために到着日を細かく指定され、遅れりゃペナルティーだなんて毒りんご感が半端じゃないよね(笑)

そりゃ、これを受ければ瞬間最大風速では儲かることは間違いないのですが、弊社は量産を目的とした会社ではないという理念を貫くため、涙を呑んでお断りをしました。

そんなわけで第4次産業革命には「斜に構えた」脂っこいジットリとした目で生温かく見守っているというわけです(笑)

さいごに

なんで「技術を海外に売る!」というテーマでインダストリー4.0を語ってしまったかというと、インダストリー4.0には国境という概念があまりなくて、システムで管理された生産体制の傘の中に入るか、入らないか?という踏み絵的な考えなのでは?と少し嫌悪感をもっているのです。

※スーパー偏見です(笑)

システムを取り入れて、品質と金額、生産能力を共有できるならば、サプライヤーさんはいつでもウエルカムですよ!って感じなので海外に製品を出そうと思えば簡単なのですが、それで日本の製造業の強みを生かせるのでしょうか?

自分自身もインダストリー4.0の知識はかじった程度で勉強が足りないので、そんなことないよーとか第4次産業革命をなめるなよ!なんてご意見あると思ますが、勉強不足ということで勘弁してくださいね。

でもたとえ偏見に満ちていても、他人の考え方に流されることなく、常に自分の考えに自信をもって、恥ずかしがらず発信していきたいと考えています。

 

日本の中小製造業の海外販路開拓に少しでもお役に立てればと思いブログを書かせていただきました。何かの参考になれば幸いです。

次回もまたよろしくお願いいたします。

この記事の執筆者
岡 正俊

関連記事一覧