新規開発テーマの選定はステージゲート法で

ものづくり革新ナビゲーターの熊坂です。

先週4月9日(土)に品川で「ものづくりドットコム4周年記念プレゼン・交流会」を開催しました。「ものづくりドットコム」は2012年3月23日に公開し、4年で98万人の方に利用していただきました。当日はものづくり革新広場の徳山さんをはじめ、8名のプレゼンターからそれぞれ独自の活動に関する10分ずつのプレゼンを聞いた後、参加者による交流は中締めの後もしばらく続いていました。

さて前回から、ものづくりの革新を進めていく手法を一つずつ紹介しており、今回は研究開発テーマの管理に使われる「ステージゲート法」をご紹介します。

ステージゲート法とは

ステージゲート法は、多くの製品や技術開発テーマを効率的に絞り込んでいく方法論で、1980年代にカナダのロバート・クーパー教授が開発しました。 研究開発のテーマや商品アイデアの創出に始まり、多数生み出されたアイデアを対象として、研究開発から事業化・商品化に至るプロセスを下図のように複数の舞台(ステージ)に分割し、ひとつのステージから次のステージに移行する間に評価を行う関門(ゲート)を設けて、そこでの評価をクリアしたテーマだけを次のステージに進めて、最終的に残ったテーマを事業化・商品化します。

StageGate

事業性が不明確なテーマであってもとにかくスタートして、ステージを進めながら次第に精緻な評価を行うことで、合理的に優れたテーマを残すことが可能となります。

どちらかというと5年10年といったスパンの研究向きと言えます。事業化を進める大手企業向けの手法ではありますが、中小企業でも現在の事業が順調ながら将来的に不安材料があり、今のうちから長期的にかなり新しい分野に進出せざるを得ない場合は、この考え方が使えると思います。

ステージゲートの必要性と有効性

ステージゲート法を説明すると、「せっかく手掛けたテーマを途中で手放すのは惜しい」あるいは「中止テーマ担当者のモチベーションが下がる」といった反論が出ます。

もちろん着手したテーマが紆余曲折はありつつ事業化され、開発費を超える収益につながれば非常に効率が良いのですが、ご存知のように「研究」⇒「開発」⇒「試作」⇒「量産」⇒「拡大」とステージが進むにつれて多くのリソース(資金、人員)を必要とします。研究初期で断念していれば浅い傷で済むものが、ずるする量産一歩手前まで進んだりすると深い傷となり、振出しに戻ることになれば、最も大切な「時間」まで浪費することになります。

聞いてみると研究スタート時点でのテーマが少なくて、絞り込むほどの数がないという現状があるようです。まずは既成概念に捕らわれず、下図のようにあとのゲートで落ちても良いと割り切って斬新なテーマをたくさん発案することが重要のように思います。

StageGate_1

ステージゲート法利用の注意点

米国では製造業の6割が採用しているステージゲート法ですが、日本ではまだ大手企業を中心に数百社と言われます。もともと日本のDR(デザインレビュー)を起源にしている本手法は、ある意味多くの企業で暗黙知的に使われており、敢えて身構えて導入する必要がない場合もあるでしょう。トップダウンでスピーディーに決定する欧米でその弊害が現れ、80年代当時成功していた日本のやり方を形式知化して取り込んだものと考えられます。

日本のTQCをトップダウン流に体系化したシックスシグマ、トヨタ生産方式のエッセンスを汎用的に体系化したTOC(制約理論)など、日本の現場が経験的に築いた優れたやり方を海外が理論化し、日本が逆輸入する例はたくさんあります。

経験的に同類の進め方をしている場合は良いのですが、もし将来の事業ネタ選定が迷走している場合は、ステージゲート法の体系に沿って絞り込んでみてはどうでしょう?

ものづくり.comの中では、日本工業大学専門職大学院の浪江一公教授がこの分野の第一人者です。今回の記事も浪江さんの記事から多く引用させていただきました。

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