協力工場を開拓するために
ものづくり経革広場の井上です。
最近、協力工場探しをお手伝いするケースが非常に増えてきています。ただ、同業者でのマッチングを考えるとなかなか結びつきづらいのが正直なところです。どうすれば、協力会社を増やし、継続的に頼める状況が作れるのか、外注さんをうまく活用している会社さんにお話を伺いながら考えてみました。
そもそも、どのような場合に同業者での外注を探すのか。大きな理由を上げると下記の二つの場合があります。
①自社での加工では間に合わない(もしくは売上を伸ばすために積極的に外注さんを活用したい)
②自社の加工技術・領域では対応出来ない
とくにネックになるのは①の場合です。なぜ①は難しいのでしょうか??それは、コストと納期が問題になるからです。間に入る分コストが増すため、通常のお仕事より受けづらくなります。逆に②に関しては加工が出来るかどうかが問題になり、技術的な面がクリアできれば受注につながりやすいのです。
①を掘り下げて考えてみます。
自社での加工では間に合わない
仕事を受ける側の考えをとしては以下のようなものが考えられます。
・値段が合うならやりたい (コスト)
・見積もりばかりで、結局仕事にならない。(コスト)
・出来なくはないが稼働がいっぱいで取り掛かりが遅くなる。 (納期)
・メーカーや商社から直接の仕事が取れればそっちの方が価格が良い。また良い情報が集められる。 (コスト)
恐らく、コストが合わなくて受けられないというものがほとんどです。これは外注をする側の社長さんが仰っていた言葉なんですが
「すけべ根性だして見積もり依頼をすると失敗する」
つまり、もしかしたら予定より安くなるかもという期待の元で希望価格を提示しないことが仇となるということです。見積もりをしてもらう分時間がかかりますし返事が遅くなったり、また、想定より高い見積もりが出てきてしまう方が多いそうです。これだと結局仕事が出せず、お互いハッピーになれません。そのため、自社で出来るものは自分で見積もりを行い、希望の価格を設定し、その価格と納期で出来るかどうかを協力会社に相談するそうです。
指し値が成功のカギになる
他の切削加工屋さんにもお話伺いました。この会社さんは仕事が受注出来ている状態で外注先を探します。その状況で見積もりから依頼すると時間がかかってしまったり、値段が合わないこともあるため、全部指し値で外注先さんに出来るかどうか聞いているそうです。納期も決まっているため、価格と納期に対応できる会社があればすぐに仕事を出しています。受ける側としては、値段が指定されていれば、その価格で対応可能かを考えれば良いだけなので、見積もりの手間も短縮され非常に返答がしやすくなります。また、指し値であれば価格、納期に対応できれば、そのまま受注につながるため、無駄な見積もり提出もしなくて良くなります。ちなみにこの会社さんでは、協力会社さんの現状の仕事の入り具合もこまめに聞いています。それにより、仕事の出せるタイミングかどうかもある程度把握しているそうです。
さきほどの①でネックになっていた、コストと納期に対して非常に効果的だと思います。このように仕事を出すのにも工夫が必要だということがわかりました。ただ、別の会社さんにお話しを伺った際には、自社で受けきれないものを先に受注してしまうのも怖いというお話もありました。確かに、受注はしたけど、結局「出来ませんでした」は避けたいところです。外注先のキャパや値ごろ感を把握しておかなければ、このような事態もあり得ます。もしくは最終的にどこもやってもらえないなら自社でやるという覚悟が先に受注することには必要なのかも知れません。
気持ちよく受けてもらう仕組み
自社の設備のフル稼働で確保できる売上は決まっています。協力会社さんとの連携をうまく作ることが出来ればプラスアルファで売上を伸ばす要因になります。そのためには、協力会社さんに気持ち良く受けてもらえるようにする仕組みも、これから考えていく必要があるのではないでしょうか??
「こうやった方がもっと協力会社を作れるよ」というご意見があれば、是非是非教えて頂けたら嬉しく思います。