タチコマリアライズプロジェクト始動!!
こんにちは、ものづくり経革広場の渡部です。
先日何気なく見ていたフェイスブックのフィードに衝撃を受けました。
攻殻機動隊「タチコマ」リアライズプロジェクト始動
http://amauchi-industry.com/tachikoma-project/
往年の攻殻ファンの私としては、「ついにこの日が来たか!」といった感じです。この素晴らしいプロジェクトをものづくり経革広場として取り上げる為に、何ともおしゃれなメールアドレス(2501@krkrpro.com)にメールです。
取材に快諾し、応じてくれたのは、精密機器の内部部品の加工をメインにし、今回のプロジェクトの部品の製作を手掛ける海内工業株式会社の湊研太郎様。今回のプロジェクトに賭ける想いについて語って頂きました。
海内工業株式会社 技術開発部 兼 営業業務部 湊 研太郎 様
この記事の目次
精密板金会社が、プロジェクトに参加する理由
—今回なぜ、タチコマ・リアライズプロジェクトに参加されたんですか?
精密板金加工の技術を知ってもらうために、以前から様々なプロジェクトに参加させてもらっています。
精密板金の加工技術、加工精度って、エンジニアの方々にもあまり知られていないことも多いので、それを少しでも知ってもらうきっかけになればと感じています。
富士ゼロックスの四次元ポケットPROJECT 第二弾 「望遠メガフォン」
http://amauchi-industry.com/4jigen-pocket-project/
史上初の月面到達飲料!LUNAR DREAM CAPSULE PROJECT
http://amauchi-industry.com/lunar-dream-capsule-project-2/
成長分野の一つであるロボットの分野でもチャレンジしていきたいと考えていて、2015年に、ロボット向けの金属加工サービス「ロボット板金.com」というプロジェクトをスタートさせています。
そういった中で、一緒にロボット関連のお仕事をさせてもらっていたkarakuri productsさんに「大きなタチコマを作りませんか?」と声を掛けてもらったのがきっかけになります。
気になるプロジェクトの進捗
ー完成はいつごろなんですか?(いきなり個人的興味からくる質問)
開発の段階を2段に分けていて、筐体が動くところをフェーズ1としています。それが、4月末の予定です。
ーえ?もう2カ月しかないじゃないですか?(取材日は2/29)
そうですね、いつもギリギリになってしまっていますね。。。笑
ー本業もあるのに、そんな過密スケジュールで大丈夫なんですか?
個人的に好きだから、楽しく進めてますよ。ただ、ほとんど時間外の仕事になってますけど・・・。でもこのプロジェクトを進めることによって、精密板金加工の技術のPRであったり、他分野との連携のノウハウになったりと様々な効果があると感じています。
ーとはいえ、発表から3か月ってかなりのスピードですね。
そうですね。ただ、プロジェクト案件は、スピードがとても大事だと感じています。トライ&エラーを早いサイクルでまわしていって、より良いアウトプットを出すということができればと思っています。そういったところで言うと、板金加工は、多品種小ロット、短納期に適合していると感じています。
例えば昨年12月に出展していた「Daniel61」とか
2月11日に発表した軽量化目標の第2次試作「MUSASHI」
これらも結構なスピードで進んでましたけど。
ーこれって・・・もう・・・タチk・・・
今回のプロジェクトに参加することで、自分たちの技術がベースになって、こんな物がつくれるのかというような誇りを持ってもらえればなと思っています。そうすることで、社員のモチベーションの向上に繋がったり、部品の使用用途を知ることで、「こうした方がもっと良いんじゃない?」等の、これからの技術の向上や人材育成に繋がってくれればと思っています。
アニメのタチコマを現実にするという事
ー製作をする上で苦労している点ってありますか?
すでにデザインの決定しているものを作るので、様々な制約があります。 (設計は同じくプロジェクトに参加しているkarakuri products様)これ(最初の写真で持っている脚の試作品)も6kgぐらいあるんですけど、実際に動かすにはまだまだ軽量化しないといけない。ただ、単純に軽くすれば良いという訳でもなくて、もちろん強度も保持しないといけない。そこで、チタン合金(βチタン)やアルミ合金などを使った精密板金加工とABSやウルテムなどを使った3Dプリンターでの加工のハイブリットな組み合わせで、課題を解決していこうと進めています。
ーポッドには乗れるんですか?
流石に今回、それは難しいですね。そもそも1/2ですし(笑)。このポッドもこれがあることでかなり重心が後ろに来てしまうので、重心をうまく取る事も課題ですね。課題は、たくさんありますが、前向きに取り組んでいきたいですね。私、思うんですけど、日本の製造業の皆様の技術って本当にすごいものだと感じてるんです。もっと自信を持ってPRすべきだと思うんですけどね。ただ、なかなかそういったPRの場所がなかったり、方法がなかったりと、町工場の課題の一つではないかなと感じています。今回我々はこのプロジェクトを通してこういった方法もあるのだなということもお伝え出来たらと思っています。
(私物のタチコマ。このポッドがあることで、設計が大変になっています。)
中小企業が本業とは少し違うプロジェクトに参加するという事
ー今回のプロジェクトって本業とは少し違った形だと思うんですけど、発注、受注の形ってどうなってるんですか?
基本今は持ち出しですね。
技術協力いただいているメーカー様や技術指導いただいている皆様には本当に感謝しています。
技術協力
株式会社ストラタシス・ジャパン様 http://www.stratasys.co.jp/
オートデスク株式会社様 http://www.autodesk.co.jp/
日本遠隔制御株式会社様 https://www.jrpropo.co.jp/jpn/
株式会社タスカケル様 http://www.tasukakeru.co.jp/
面白法人カヤック様 http://www.kayac.com/
技術指導
吉村浩一様 (bloomakeLab代表) http://bloomake.com/
山本隆司様
ーえっ!!?
でも、これまでにお話したように、社員のモチベーションや技術の向上、自社の精密板金の技術のPRに繋げることは、もちろんですが、既存技術を様々な分野に展開させていくことに繋げていければと考えています。作って満足では、絶対に終われないです(笑)
ー貴重な経験値になりそうですね。
積極的に外への情報発信を続けている海内工業株式会社様。これからの動向に(個人的にも)目が離せません。
タチコマリアライズプロジェクト
海内工業株式会社
karakuri products